若手STだからこそ覚えておきたいSTの役割
こんにちは、言語聴覚士(ST)の喜志です!
今回は、STになって間もない若手の方や、
これからSTを目指す方向けに、
ぜひ覚えておきたいSTの役割について書きたいと思います。
【この記事の要点】
〇リハビリの目的は、”失った機能の改善”と”生活の質の向上”の2つ
〇STの役割は、教科書的には言語や嚥下等の”機能の改善”の占める割合が大きい
〇現場で働くSTには、機能だけでなく、患者の”その人らしさ”をまず理解する事が重要
<リハビリの目的と、他科との決定的な違い>
リハビリの目的は主に2つあります。
1つは、患者の”失った機能の改善”
もう1つは、患者本人の能力や社会的な資源を活用した”生活の質の向上”
1つ目はすぐにイメージできるかと思います。
病気によって患者さんが失ってしまった機能を、
リハビリの機能訓練によって回復させる事です。
しかし、2つ目はなかなか想像できない人も多いのではないでしょうか?
それは、リハビリテーション科が他の診療科と違い、
活動レベル以上を対象としているからでしょう。
外科や内科等は、病気自体が対象です。
したがって、「いかに患者の疾患を治療するか?」という事が命題となります。
それに対してリハビリテーション科の命題は、
「いかに患者の障害を克服し、活動、生活を改善するか?」です。
疾患による障害の機能改善は、
あくまでも活動を向上するための手段の1つと考えるべきでしょう。
<STの教科書には、機能に関する事が多く書かれている>
さて、STの役割はどうでしょうか?
教科書的には、
言語機能の改善、
高次脳機能の改善、
嚥下機能の改善、
等が挙げられるのでしょう。
私が3年ほどSTを続けた頃に、気づいたことがあります。
「STの教科書には、
患者の機能障害をどうやって調べるか
どうして障害が発生するのか
という事はとても詳しく書かれているけれど、
目の前の患者さんの生活がどうすれば良くなるか?ということはあまり書かれていない。」
ということです。
おそらく、”相対する障害をいかに解き明かすか”という研究はかなり進んでいるが、
”相対する障害をいかに解決するか”という研究は、まだ発展途上なのでしょう。
<現場のSTは患者自身がどんな人か考えるべき>
私の職場では、STに求められる役割は2つにまとめられると思います。
1つは、その人らしいコミュニケーションの実現
もう1つは、その人らしい食事の実現です。
“その人らしい”というところが重要でしょう。
いくら検査の点数が上がっても、
患者さんの生活力が向上しなければ、満足なリハビリとは言えません。
STを含め、医療職は対人援助職です。
私達の仕事の相手は、病気や障害ではなく”人”です。
相手がどんな人か、
どんな考えをしているのか、
どんな生活を望んでいるのか、
まずは“その人らしさ”を理解する事から、リハビリは始まるのではないでしょうか。
いかがでしたでしょうか?
医療職というと、
難しい勉強をしている
専門的な仕事をしている
といったイメージが強いと思いますが、
結局はお客さん相手のサービス業です。
当たり前のことと思うかもしれませんが、
この事を自覚していないSTも多くいると思います。
STに成りたての方、これからSTを目指す方は、
相手は同じ人間だ、という事を覚えておいてください。
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