本当に安定してる!?言語聴覚士が認めたくない給料の話
こんにちは!
言語聴覚士(ST)の喜志です。
今回は、
STに興味をもった方や、
これからSTを目指す方向けに、
言語聴覚士の給料事情の話をしたいと思います。
【この記事の要点】
〇STは国家資格保持者で給与は安定しているが、
高給取りではない。
〇年数に応じた昇給額は少ない。
その理由は報酬システムにある。
〇安定収入を続けたいなら、
自腹を切ってでもスキルアップしていくべき。
<言語聴覚士の平均年収>
国家資格を取得する理由の一つが、
安定収入であることは間違いないでしょう。
お金が全てとは思いませんが、
お金がなければ生きていけない事も事実です。
わざわざ多大な労力と時間、
お金をかけて、
国家資格をとるからには、
ある程度の安定収入を求める方が多いのではないでしょうか?
転職サイト等をみてみると、
言語聴覚士の年収は
300万円~400万円ぐらいが相場のようです。
ただし、これは年収の話。
月収ではおおよそ15万円~28万円ぐらいで、
あとはボーナス等で補填していると予想されます。
高給取りではありませんが、
月収は安定していると言えそうです。
<医療職の給料は行政によって左右される>
STを含め、
医療系専門職は安定収入といっていいと思います。
その理由は、
売上が診療報酬により保障されているからです。
診療費はすべて
点数によって国から定められており、
1点=10円となっています。
例えば、
STが脳血管疾患等リハビリテーション料Ⅰ
という名目のリハビリを
1単位(20分)実施すると、
施設基準にもよりますが、
最大で245点となります。
つまり、
新人だろうが
ベテランだろうが、
リハビリを20分行うと
2450円の売上が
ほぼ確実に見込めるということです。
この制度は、
サービス提供者側からすれば
非常に都合のいい話ですが、
サービスを受ける利用者側からすれば、
質が高くても低くても
同じだけの料金を払わなければなりません。
しかも、
利用者自身でサービスの提供者を選択することはできません。
最近の診療報酬改定では、
このあたりを是正しようとしていると思われ、
機能改善の実績によって
点数に差をつけるような仕組みに変わってきています。
<昇給はあまり見込めない>
前述したように、
STの売上は
新人だろうが
ベテランだろうが
同じです。
つまり、
経営者側からすれば、
経験年数に応じて
給料に差をつけるメリットがあまりありません。
それどころか、
ずっと初任給のまま働かせた方が、
人件費を抑えることができます。
STが確実に昇給できる手段は、
役職に就くことでしょうが、
それも全員が役職者になれるわけではなく、
同期が多ければそれだけ競争も激しくなります。
あとは、
認定資格を取る等のキャリアアップで、
昇給のメリットを施設側に感じさせる等でしょうか。
もしくは、
より良い条件の施設へ転職することによって
給料を上げている方も多いと思われます。
<勉強にお金がかかる>
これは給料の話ではありませんが、
STの懐事情を話すうえで、
重要なことです。
専門職として働くうえで、
専門学校で習った知識だけでは
実際の現場では長くは通用しません。
最近の傾向では、
専門学校はとにかく最短で資格を取れるように
カリキュラムを組む傾向があり、
専門教育は
必要最小限にとどめているように思われます。
そうでなくても、
医療技術は日々向上していますし、
最新の知見をどんどん仕入れていかなければ、
現場についていけません。
しかし、
医療系の勉強はとにかくお金がかかります。
専門書一冊でも、
だいたい3000円~10000円ぐらいします。
講習会や
学会は
10000円単位のものがほとんどです。
つまり、
月収20万円前後から
生活費を含め、
さらに勉強のための費用も
捻出しなければなりません。
これがじわじわと家計を圧迫します。
<将来も安定収入とは限らない>
STは全体の人数が少く、
有資格者だけで約30000人程度です。
しばらくは資格を持っているだけで希少価値があります。
需要に供給が追い付いていないうちは、
安定収入といえるでしょう。
しかし、
このまま10年、20年先も
需要が同程度望めるかというと、
私は疑問です。
リハビリの点数にも成果主義が導入され始めました。
極端な話、
患者を治せない、
満足度の低いリハビリは必要ありません。
資格を持っているだけで安定収入を得られる時代は、
そう遠くないうちに終わりを迎えるでしょう。
<まとめ>
今現在のSTは安定収入ですが、
これを維持するためには、
貪欲にキャリアアップを図り、
勉強を続け
自己研鑽に励む必要があります。
業界自体が
そもそも儲かるような類のものではなく、
むしろこれからは医療費抑制の煽りを受け続けます。
STの資格を取るだけでは、
安定収入を続けることは難しいでしょう。
全国協会の幹部をされているようなベテランSTは、
「勉強にお金を惜しんではいけない」と話されます。
しかし、
私自身、
今の給料で貪欲に勉強を続けると、
普段の生活がままなりません。
恥ずかしながら、
今は家計を妻の給料に頼っている次第です。
これからのSTは、
自分の給料を上げる方法を模索することも必要でしょう。
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