顔面神経麻痺のリハビリで積極的な運動をやってはいけない!その理由は!?
こんにちは!言語聴覚士(ST)の喜志です。
ここ最近、
入院の患者様で
顔面神経麻痺を患った方の
リハビリを施術する事があります。
顔面神経とは、
主に顔全体の筋肉の運動を支配する
脳神経です。
ここが麻痺すると、
表情筋が動かせず、
左右どちらかの顔が崩れる、
瞼が開けられない、
涎が出続ける、
呂律が回らない、
等の症状が生じます。
今回は、
顔面神経麻痺のリハビリについて
書きたいと思います。
【この記事の要点】
〇従来の方法では、麻痺側を積極的に動かして筋力アップを図るが、それは間違い
〇回復期に随意運動を繰り返すと、誤った回復を促してしまう
〇粗大な運動は避け、伸張マッサージを繰り返す方がベター
<積極的な運動はやってはいけない!?>
顔面神経麻痺では、
動かない麻痺側を動かし、
筋力を維持・向上させようと、
積極的に動かし勝ち。
従来では、
動かさないと
廃用で拘縮していく可能性があり、
治療者による徒手的な運動や
電気刺激などの他動運動で
筋収縮を促すのが良いとされてきました。
麻痺は筋力も低下するので、
一見すると
筋力増強トレーニングをするのが
良いと思えます。
しかし、
近年、この方法は間違っている可能性が
指摘されています。
実は、
顔面神経麻痺に
筋力増強トレーニングを
やってはいけないのです。
<積極的な運動はやってはいけない!?>
腕や足等の筋肉は骨格筋と呼ばれ、
支配神経は太い神経束の構造を持ちます。
ですが、顔面の筋肉は皮筋と呼ばれ、
支配神経である顔面神経は太い神経束を持ちません。
実は、
瞼や口元など、
離れた場所を動かす神経は、
すぐ隣り合っていたりします。
麻痺が起こった場合、
神経と筋肉の接続を再建する必要があるのですが、
この時、
神経束構造を持たないと、
隣り合った細い神経同士で
接続干渉してしまい、
誤った筋肉を支配してしまうことがあります。
つまり、神経の修復ミスです。
口を動かすつもりが、
同時に瞼も動くなど、
このような誤反応を
病的反射と言います。
病的反射が悪化すると、
動かない側を必死に動かそうとするうちに、
動く側が過剰な運動を起こし、
半年~1年後に顔面が歪むと言われています。
これを予防するには、
”随意運動を抑制する”
つまり、積極的な大きな運動を避けることです。
<無理に動かさず、伸張マッサージを行う!?>
最近の研究では、
顔面神経麻痺には、
伸長マッサージを継続することが
良いとされています。
指が皮膚の上を滑らないようにして、
円を描くようにマッサージします。
表情筋の粗大運動はできるだけ控え、
無理な運動を促しません。
電極を使った低周波刺激による筋収縮誘発も禁止。
廃用予防のストレッチは、
①目を閉じ、白目の部分を増やすように大きく見開く。
②口を閉じ、口角をあげてニッコリの笑顔をつくる。
この程度の運動を毎日継続することが
ベターとされています。
<まとめ>
いかがでしたでしょうか?
医療の分野では、
最新の知見も
3年経てば時代遅れ
と言われています。
麻痺は見た目にも影響しますので、
適切な改善を促したいですね。
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