お餅は何故喉に詰め易いのか!?誤嚥、窒息を予防する方法は!?
こんにちは!
言語聴覚士(ST)の喜志です。
もうすぐ年末
年の瀬を迎える準備をしている御家庭も
多いのではないでしょうか?
大晦日を迎えた後は、お正月。
おせち料理にお雑煮、
季節物の食べ物も目白押しです。
飲み込みのリハビリも専門に行う私達STが、
毎年必ず患者さんやご家族の方から訊ねられること...
「お餅は食べれますか!?」
正月にお餅を食べたいという方は多いですものね。
それは重々承知しております。
一般的には、高齢の方がお餅を食べると、
窒息の危険があると言われています。
しかし、実際のところはどうなのでしょうか?
お餅の食べる危険性について考察したいと思います。
【この記事の要点】
〇一般的に、モチモチした食感の物は凝集性が高く、口の中でまとまり易いので飲み込み易い。
〇水分など、のど越しの良いものは付着性が低く、ツルっと入ってくる分飲み込み易い。
〇お餅は凝集性も付着性も極めて高く、窒息のリスクが高いため、飲み込み難い食品に分類される。
嚥下のしやすさは食物の物性に影響します。
食物のまとまり易さを表す”凝集性”
食物の流れ易さを表す”付着性”
一概には言えませんが、
お粥やパンなど、
モチモチした食感の物は凝集性が高く、
口の中でまとまり易いので飲み込み易いです。
反対に
魚肉やきざみ料理等は凝集性が低く、
パサパサして飲み込み難さを感じます。
水分など、
のど越しの良いものは付着性が低く、
ツルっと入ってくる分
飲み込み易さを感じます。
それぞれの物性に対して、
要求される能力が異なります。
凝集性に対しては、
高ければ高いほど、
嚥下の際に高い加圧が要求されます。
付着性に対しては、
低ければ低いほど、
素早い嚥下反射が要求されます。
凝集性と付着性は必ずしも相反するものではありません。
さて、
お餅の場合はどのようになるかというと、
噛んでも噛んでも噛みきれないほどの凝集性の高さ、
粘膜にとても張り付きやすい付着性の高さを合わせ持ちます。
つまり、
嚥下の際にかなり強い圧力が要求されます。
しかも喉に付着し易いときた。
飲み込み難い食物の典型と云えます。
最大のネックは、
高過ぎる凝集性が災いして、
塊のまま嚥下される可能性があるという事。
最悪の場合、
気管を塞いでしまうほどの大きさで喉を通ります。
仮に、
誤って気管を塞いでしまった場合、
高過ぎる付着性ゆえに
自力で吐き出す事も一苦労です。
飲み込みのリハビリをする上で、
誤嚥以上に最もリスクが高いものが窒息。
即、命に関わります。
お餅が危険と云われる理由は、
その物性上、
”窒息リスクが高い”
といえることにあると思われます。
窒息リスクを下げるには、
お餅の物性を変化させる必要がありますが、
残念ながら、
お餅の物性は咀嚼するぐらいではあまり変化しません。
後は、調理や食べ方の工夫で何とか対処するぐらいですが、
何れも有効と言い切る方法がありません。
どうしてもお餅が食べたいという方の場合、
気管を防がない程度の大きさ
直径約1cm
ぐらいに切って食べるのが無難でしょう。
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