一般の人が知らない、嚥下検査の盲点とは!?

こんにちは!
言語聴覚士(ST)の喜志です。


先日、
ある口コミサイトで、
私が働いている病院の口コミを見かけました。

割りと良い評価をつけてくれていたのですが、
気になる1文が…

「嚥下の検査もちゃんとやってくれました」


世間の評価だと、

嚥下検査を実施している事自体が
良い施設と判断される傾向にあるのでしょうか?

認定機構の病院機能評価でも

嚥下検査の年間実施件数が多い方が高評価です。


しかし、

嚥下に携わる医療者としては、

これにはスゴく違和感を感じます。



嚥下検査を実施している施設は、

本当にちゃんと嚥下を診れているのでしょうか!?

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<嚥下の診療科は何科?>

嚥下障害

つまり
飲み込みの診療科は、
特に決まっていません。

脳血管障害や神経疾患の患者が多い病院では、
神経内科や
脳外科の場合もありますし、

咽喉頭の解剖に詳しい
耳鼻科や
歯科の場合もあります。

リハビリに直結するので、
リハビリテーション科の医師が
診ている病院もあります。

どの科の医師が診ても問題ありません。


逆を返せば、


どの科の専門領域でもありません。


つまり、

嚥下に関心の高い医師しか診ようとしません。


多くの病院では、
必要に迫られて
嚥下診療を行っていると思われます。

ただ、
昨今では、
嚥下に関心を寄せる人も増えていますので、
徐々にですが、
現場の質は上がっている傾向にあるのではないでしょうか。


ちなみに、

法律上で嚥下の評価・訓練ができると明記されている職種は、

言語聴覚士だけです。

認定資格では、
摂食嚥下の認定看護師というものもあります。

いずれも、
臨床現場では
ごく少数派になります。



〈嚥下検査の盲点とは!?〉

嚥下検査には、

嚥下造影検査と

嚥下内視鏡検査の

2種類がありますが、

その両方とも、

他の生体検査とは異なる
ある特徴があります。


"検査時のデータが日常生活に反映されるとは限らない"


血液検査や画像検査とちがって、

嚥下検査は"機能検査"です。

機能は再現できますが、

毎回同じとは限りません。

例えば、

"学校の試験"

本人の学力が一定だとしても、

毎回同じ問題が出題される訳ではありません。

解き方も、
その都度微妙に変化します。

つまり、
毎回まったく同じ点数が取れる訳ではありません。

嚥下検査もこれと同じ。

飲み込み方は、
食品や食べ方によって変化します。

検査の時の結果が、

普段の日常を必ず反映している訳ではありません。


この点を理解していれば、

「飲み込みが弱っている」

「誤嚥・窒息のリスクがある」


といった検査結果だけでなく、


「何を、

どういった食べ方をすれば、

リスクを軽減できるか」


という検査結果も
合わせて必要になるのですが…


ここまでやっている嚥下検査は
まだ少ないように思えます。

残念ながら
私が勤務している病院も、
リスクについての検査結果しか出せていません。


<まとめ>

いかがでしたでしょうか。

病院では、

検査結果の解釈は主治医の権限です。

主治医が嚥下に詳しい、

あるいは周辺の嚥下に詳しいスタッフの意見を
反映してくれておれば、

”どうすればリスクを下げられるか”

という点も説明してくれる可能性が高いでしょう。


嚥下検査をやっただけで、

ちゃんと診ているとは限らないと

私は考えます。

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