退職者続出!?病院勤務STのリアルな業務負担

こんにちは!
言語聴覚士(ST)の喜志です。

最近とにかく忙しい。

仕事があることは有難いのですが、

忙殺される程になれば考えものです。


今回は、病院勤務のSTのリアルな業務負担についてご紹介します。

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【訓練業務の実際】

病院のセラピストは、

まずリハビリを提供する事が仕事です。

そして、

リハビリは介入回数によってコストが発生します。

20分ごとに1単位としてコスト算定され、

1人のセラピストは1日に24単位、

1週間のうちに108単位まで算定が許されています。


この単位というコスト算定のシステム、

セラピストにとっては、

生産高が週108単位と上限が設けられるかわりに、

成果にかかわらず、

リハビリをやればやるほど、
コストを算定できる事が約束されています。


当然、

病院経営上は、

セラピスト1人が週108単位ギリギリまで算定した方が、

病院の収益に繋がります。

したがって、

ほとんどの職場では、
セラピストは"単位を取る"事を要求されます。



〈リハビリだけでは終わらないセラピストの業務〉

病院のセラピストの本業は、
リハビリの提供ですが、

その他にも多数の間接業務があります。

まず、実施したリハビリの内容は全て記録に残さなければなりません。

医療関係の全ての出来事は記録や書類を残さなければ認められません。

1人の患者に対して作成される書類は数百枚に及びます。

セラピストが作成するのはそのうちのリハビリに関係する書類なのですが、

いつまでにどの書類が必要か
誰が作成し、誰がサインを貰うか
書類の不備がないか

等は、セラピストが主導しなければなりません。

人件費に余裕のある職場なら、

事務員を雇って書類の管理をして貰うことも可能かもしれませんが、

そんな余裕のある施設は少数派でしょう。

多く施設のセラピストは、
勤務時間ギリギリまでリハビリ業務を行いながら、
膨大な事務作業やカンファレンスをこなす必要があります。

当然ですが、
日頃の報告・連絡・相談の時間は、
これらの業務とは別に確保しなければなりません。

そして、

自己研鑽に掛ける時間も必要です。



〈多職種連携は必要だが負担も大きい〉

ここまで書いただけでもかなりの負担ですが、
これだけでは済みません。

今の病院社会は、
多職種連携が基本です。

文字にすると簡単ですが、

別々の職種、
別々の部署の職員同士が、
足並みを揃えなければなりません。

すると、

誰が取り纏めをするのか、

誰が伝達をするのか、

話し合うタイミングを誰が調整するのか、

等という調整業務が必要になります。

業務時間いっぱいまで単位を取りながら、
調整業務を行いつつ、
期限までにすべての書類を揃えて、
自己研鑽も行う。

どれか1つでも怠れば、
多方面から指導が入ります。

怠った業務がどれだけ大事か、
優先順位を誤っていないか、
等々…

言い訳かもしれませんが、
正直、
この優先順位というのは思考停止ワードに聞こえます。

何故なら、
全ての業務が最優先に他ならないからです。

全ての業務は出来て当たり前、
抜けがあるのは個人の努力不足とみなされます。


”医療従事者は、努力して当たり前”


このような現場の常識に付いていけないスタッフには、

短期間で退職する人もいます。



〈まとめ〉

医療・福祉の現場は、

職員の善意で成り立っているとも言われています。

真面目な職員達の自助努力によって、
昨今のセーフティネットは支えられているのです。

しかし、

それもそろそろ限界ではないでしょうか。

慢性的な人手不足の解消は難しいでしょうが、

せめて、

必要以上の書類からは
解放してほしいものです。

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