医療分野の多職種連携~言語聴覚士と理学療法士~
こんにちは!
言語聴覚士(ST)の喜志です。
今回は、
言語聴覚士と理学療法士の連携についてのお話です。
病院では
複数の職種が同じ現場で働いています。
昨今では
"チームアプローチ"
"多職種連携"
といった言葉が表す通り、
複数の職種が目的を共有して
協働する事が求められます。
しかし、
理想を述べることと
現実に実行することは訳が違います。
(多職種連携についてはこちらの記事も参考にしてください)
言語聴覚士と理学療法士の協働は
実際のところどのようなものなのでしょうか?
(作業療法士との協働については、こちらの記事をご参照ください。)
〈考え方は異なるが、食事場面では協働が必要〉
理学療法士は、
その名の通り物理療法が専門です。
得意とする学問は
解剖学
生理学
運動物理学
等々、
数値として現れるものの扱いに
長けています。
それに対して、
言語聴覚士の得意とする専門学は
神経心理学と云います。
簡単に言うと、
脳神経の科学現象と人の心理現象が
どのように関係しているのか?
という学問です。
したがって、
言語聴覚士は
人の感情や精神面等、
目に見えないものを扱うことを
得意とします。
私の印象で言うと、
理学療法士は
科学者で理屈家です。
考えには必ず
絶対基準があります。
臨床においても基本的に
理詰めで説明しようとします。
対して、
言語聴覚士も基本は理屈家ですが、
物事を曖昧に考える傾向があります。
人のコミュニケーションや
心理面において、
絶対基準を定めることが難しいからです。
そのため、
理学療法士と言語聴覚士の議論は
お互いに歩み寄りがなければ、
あまり噛み合いません。
黎明期の理学療法士と言語聴覚士は
よくケンカしていたそうです。
昨今では、
お互いの専門性に対する理解も
進んできたため、
かつてほどのすれ違いは
少なくなったらしいです。
ただ、
食事の臨床では必ず協働が必要です。
摂取嚥下障害は
複数の専門分野にまたがっていますが、
嚥下機能は物理現象です。
何を食べたらどうなるか、
どうすれば嚥下が良くなるか、
等は、運動物理学の視点が必要となります。
正直に申しますと、
今はまだ
嚥下リハビリと言えば
言語聴覚士が呼ばれますが、
理学療法士が本気で嚥下リハビリを
取りに来ると、
おそらく
今の言語聴覚士は勝てません。
実際、
嚥下機能を治療するリハビリを
されている理学療法士もおられます。
言語聴覚士が嚥下リハビリの分野で
持てるアドバンテージは、
咽頭喉頭の解剖に精通している
という点でしょう。
極論してしまえば、
どちらも、
自分で知識を身に付けようとすれば
身に付ける事ができます。
しかし、
それでは時間がかかってしまう。
患者は準備ができるまで
待ってはくれません。
お互いに得意なものを持ち寄って、
協働で臨床にあたる方が現実的です。
理学療法士と言語聴覚士は、
どちらの考えが正しい等といった
対立関係にあるのではなく、
臨床に対する考え方が違う
という関係にあります。
そして、
実際の現場ではお互いの得意分野を
持ち寄る事で、
初めて見えてくるものがあります。
相手の考え方を知ろうとする事は
意外に面白いものです。
独りでは気付かない事に気付かされます。
理学療法士と嚥下リハビリをしていると、
毎日がそんな発見の連続です。
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