吃音は悪化するの?治すにはどうすればいいのか?
こんにちは!
言語聴覚士(ST)の喜志です。
吃音に関して
最も多い質問の1つが、
「吃音は悪化するの?」
もう1つは、
「吃音は治るの?」
といった内容です。
当事者や
吃音の子をもつ親御さんが
最も心配する事でしょう。
結論からいえば、
吃音は悪化します。
また改善する事もあります。
吃音の症状は固定のものではなく、
変動するものです。
そしてそれは、
「○○すると悪くなる」とか
「○○すると良い」などのような
単発的な要因によるものではありません。
実は、
吃音の悪化・改善については
多くの見解がありますが、
最も基本となる考え方は
1960年代に
チャールズ・ヴァンライパーという
臨床家が既に提唱しています。
今回は、
私が病院の外来で
実際にクライアントに話している内容を
紹介します。
〈吃音を悪化させる要因とは!?〉
ヴァンライパー氏は、
吃音を悪化させる要因として、
以下の項目を挙げました。
- 罰-吃ったときに与えられた罰の経験
- 欲求不満-話したくても話せない経験など。
- 不安-吃って失敗した過去の経験から、また吃って失敗するのではないかと、話す前に不安を持つ時。
- 罪-吃って周囲に迷惑を掛けるのではないか、という罪の意識。
- 敵意-自分を理解してもらえない、という環境や周囲の人間に対する敵意
- 場面に対する恐れ-過去の不愉快な経験に基づく、特定の場面に対する恐れ
- 語に対する恐れ-過去の失敗経験から、発音しにくい音を意識する
- 話すことに対する心理的圧迫-心理的圧迫の大きい場面や、重要なことを言わなければならない時
以上が、全て吃音を悪化させる要因に当たります。
吃音の当事者なら、
おそらく誰もが経験する内容でしょう。
これらの経験値が増えれば増えるほど、
吃音は悪化していきます。
〈吃音を改善させる流暢性の要因〉
先ほどの吃音を悪化させる要因に対して、
ヴァンライパー氏は、
吃音を改善させる要因についても
流暢性の要因として挙げています。
- 士気-自我の強さ、自信、安定感など
- 流暢さ-本人がなめらかに話せたという満足の経験
吃音の当事者で、
すでに吃音を克服したと考えている方には
どことなく心当たりがある内容ではないでしょうか?
これらの要因が蓄積されると
吃音は改善していくと言われています。
〈悪化要因を予防し、流暢性の要因を増やす〉
吃音の治療方法にはいくつかありますが、
原則は、
”吃音を悪化させる要因を予防して、
流暢性の要因を増やしていく”
という事に繋がると
私は考えています。
例えば、
ビーカーの中の水を
イメージしてみて下さい。
ビーカーの中に入っている水が、
吃音を悪化させる要因です。
水の量が増えれば
吃音は悪化し、
逆に水が少なくなれば改善します。
このビーカーに水を注ぐ行為が、
吃音者意識とも云える
否定的な感情の反芻や、
吃音への注目、
吃音を意識した工夫の駆使や、
発話の回避
といったものに当たります。
逆に、
ビーカーから水を汲み出す行為が、
流暢性の要因です。
自分の思った通りに話す
自然で無意識な発話の実行と、
それによる
コミュニケーションの成功体験です。
ビーカーの中に水が入ってくるのを止めつつ、
既にビーカーの中に貯まった水を外に出していけば、
吃音は改善していきます。
多くの訓練法が、
実はこの原則を目標にしていると
私は考えています。
しかし、
私の知る限り、
この目標を明文化している訓練法は
自然で無意識な発話への遡及的アプローチ(RASS)のみです。
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