診療体験~訓練で実現したい”目標”は何?直接法と間接法の違いを理解しよう~
こんにちは!
言語聴覚士(ST)の喜志です。
今回は、
病院で実際に行っている
吃音治療の体験シリーズです。
私が実際に
外来で当事者の方にお話ししている内容を
文字化したものですので、
病院で行われる吃音治療に興味のある方は
参考にしてください。
<吃音に対する2つの訓練法>
さて、
実際の訓練に関する話をしていきましょう。
私の臨床では
「間接法」
と呼ばれる訓練を
第一選択としています。
欧米や日本における
主流な訓練は、
スラスラ話すために
声を出して練習する
「直接法」
と呼ばれるものです。
いろいろな技法がありますが、
簡単にいうと
スピーチ練習です。
効果をすぐに実感できる等のメリットはありますが、
普段の生活でも、
練習した発話方法を
使い続けなければなりません。
それに対して、
「間接法」は
声を出して練習することは
一切しません。
すべての発話訓練は、
頭の中で行われる
発話行動に対して行います。
<吃音訓練で目指す目標>
吃音の訓練は、
「訓練で何を実現するか?」
という目標が定められています。
「直接法」の目標は、
技法によって細かい違いはありますが、
概ね
「スラスラ話すテクニックを駆使して
自分の思ったことを積極的に話し、
自己実現を図る」
ということで差し支えない
と思います。
それに対し、
「間接法」の目標は、
吃音症状のコントロールではなく、
「健常者と同じ“自然で無意識な発話”へ戻ること」です。
”戻る”とは、
進展段階を
第4層から正常域に向かって
遡ることです。
遡るためには、
吃音への否定的な価値観や
発話への注目など
悪化要因を増やす行動を
止める必要があります。
これ以上、
吃音への否定的な意識を増やさないために
否定的感情の増幅を防止します。
同時に、
発話練習として
成人の場合は
「年表方式のメンタルリハーサル法」という技法で
自然で無意識な発話を
頭の中で疑似体験してもらい、
経験値を積んでいきます。
それによって、
過去の経験からくる恐れや
予期不安を打ち消していきます。
学術用語で、
これを脱感作と云います。
小児の場合は、
まだ実際の生活で
自然で無意識な発話の実践が
可能なので、
「環境調整法」という技法で
対応します。
「間接法」 で行う
これらの訓練技法は、
まとめて
「自然で無意識な発話な発話への遡及的アプローチ(RASS)」
と呼ばれています。
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