診療体験~自然で無意識な発話への遡及的アプローチ(RASS)を理解しよう~
こんにちは!
言語聴覚士(ST)の喜志です。
今回は、
病院で実際に行っている
吃音治療の体験シリーズです。
私が実際に
外来で当事者の方にお話ししている内容を
文字化したものですので、
病院で行われる吃音治療に興味のある方は
参考にしてください。
<RASSの治療理論>
RASSで実施する内容を
簡単にまとめてみます。
ビーカーの中の水の量が、
吃音の悪化要因の多さだと
思ってください。
まず、
水の量がこれ以上増えないように、
普段の生活で
否定的な感情の反芻を止めます。
つまり、
嫌な気持ちに繰り返し浸る事を
予防します。
同時に、
吃音への注目や
スラスラ話すためのテクニック、
つまり意図的な発話です。
これらも止める必要があります。
どもることが嫌で
話す事や話す場面を回避する。
これも止めます。
〇否定的な感情の繰り返し、
〇吃音への注目
〇意図的発話
〇回避
これらは全て、
自分の利益にはなりません。
ビーカーに水が注がれる行動を防止して
吃音の悪化を防ぎます。
水の増加を防ぐだけでは
まだビーカーの中に
今まで蓄積した水が残っていますので、
同時進行で、
水を外に出す作業が必要です。
水を外に出すには、
”自然で無意識な発話を行うこと”
”それによる成功体験を積んで自信をつけること”
これらが必要です。
自然で無意識な発話の成功体験によって、
発話場面に対する
苦手意識を打ち消していきます。
具体的には、
”年表方式によるメンタルリハーサル法”
という技法で対応します。
これは、
自然で無意識な発話を
頭の中で疑似体験する方法です。
訓練室で行うのではなく、
ご自分の家で
寝る前のリラックスした状態で
実施して頂きます。
RASSによる訓練は、
ビーカーの中の水を
「これ以上増やさない」
「蓄積された水を減らす」
この二段構えです。
どちらか一方だけでは、
効果を発揮しません。
また、
薬と同じように
毎日コツコツ
地道に続けることが大切です。
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