診療体験~改善率は!?訓練で対応できる範囲を理解しよう~
こんにちは!
言語聴覚士(ST)の喜志です。
今回は、
病院で実際に行っている
吃音治療の体験シリーズです。
私が実際に
外来で当事者の方にお話ししている内容を
文字化したものですので、
病院で行われる吃音治療に興味のある方は
参考にしてください。
RASSによる吃音訓練は、
日頃の生活で
”吃音への注目、工夫、回避を止め、
否定的な感情に浸ることを防止する”
ことと、
”年表方式によるメンタルリハーサル法”
の2段構えで行います。
※詳しくはこちらの記事
<改善率は72%>
年表方式によるメンタルリハーサル法の本家本元は、
現在
名古屋で吃音相談室をされている都筑澄夫という方です。
この方は40年近く吃音の臨床をされていて、
メンタルリハーサル法を開発されました。
そして、
この方法で訓練した場合の改善率を
論文で報告されています。
およそ3年間訓練を続けて、
3分の1の方が
吃音の症状が出ない状態に戻りました。
また
他の3分の1の方が、
どもってはいるけれども
困っていない状態まで戻りました。
残りの3分の1の方は、
残念ながら
まだ苦悩が残る状態に留まっている、
という結果でした。
RASSの訓練は、
本人が日常生活で困らない状態になって、
初めて“改善”と捉えます。
したがって、
3年の訓練継続で、
改善率は72%となります。
ひとつ
注意点があります。
メンタルリハーサル法は、
吃音の症状をコントロールして
克服するためのテクニックではありません。
よって、
即効性はありません。
今日訓練をしたら
すぐに効果を感じた!
翌日症状がマシになった!
などということは
有り得ません。
半年や一年ほど継続して、
徐々に徐々に効果が現れる、
大変地味なものです。
本来、
吃音の改善とは
そのようなものと思います。
記事の内容へのご意見・ご質問や
個別のご相談等がございましたら、
メールにてお問合せください。
※ご入力頂いた個人情報に関しましては、
お問合せへの回答を目的としてのみ使用します。
その他の目的、
外部の第三者に提供することは一切ございません。
【成人吃音の診療体験シリーズ一覧】
この記事へのコメント