診療体験~吃っても良いと思えるにはどうすればよいのか?~

こんにちは!

言語聴覚士(ST)の喜志です。


今回は、

病院で実際に行っている

吃音治療の体験シリーズです。


私が実際に

外来で当事者の方にお話ししている内容を

文字化したものですので、

病院で行われる吃音治療に興味のある方は

参考にしてください。


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吃音に悩む多くの方は、

吃音を悪化させる要因を増やし続ける

悪循環に陥っています。



この悪循環から逃れるには、

まず

吃音への否定的価値観を捨て、

吃音者特有の行動を止めることです。


つまり、

「どもっても良いや」

と考えることです。



※詳しくはこちらの記事

〇まず自分が陥っている現状を整理しましょう。



<吃音者は自分を罰し続けている!?>


「吃っても良い」と思えるためには、

まず

”吃った時に

誰から罰せられていたか”

再確認しましょう。


吃った時に

貴方を罰していたのは、

最初は周囲の人や他人でした。


途中から自分自身も加わり、

他人と自分の両方から

自分自身が罰し続けられてきました。



“自分で自分を罰する”ということに

しっくりこないかもしれません。



では、

分かりやすく数字で表してみましょう!


まず、

今までの人生で、

“他人から馬鹿にされたり、

嫌な顔をされたり、

吃音を責められた”回数を

思い出せる限りかぞえてみて下さい。


この数字が、

①他人から罰せられた回数です。

だいたい10~20ぐらいと

答える方が多いです。


次に、

②一日でスラスラ話すテクニックを使った回数を

数えてください。


②の数字に、

③一年に話した日数(便宜上、300日とします)

④今の年齢から9を引いた数字

すべて掛け算します。


計算して出てきた数字が、

自分自分を罰した回数です。

①と⑤を比べてみてください。

おおざっぱな計算式ですが、

桁違いに⑤の数字が多くなるはずです。


比べてみると、

圧倒的に

自分で罰してきたことの方が多いことが

わかります。



ちなみに、

私も吃音者なので、

この計算式に当てはめてみます。


①は覚えている限りだと14回です。

今は話すテクニックは一切使っていないので、

②は0です。

したがって、

②×③×④=0となり、

⑤は0です。


学生の頃なら、

一日にかなり話すテクニックを使っていたので、

⑤は10万回を超えていました。



悪循環から逃れると、

このような数字でも

違いがわかるようになります。



吃って良いと思えるには、

「自分が吃っても他者から罰せられることは非常に少ない」ことと

「自分で自身を罰しない」ことの

両方の確認が必要です。



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