診療体験~「他人が自分を低く見ているに違いない」は本当か?

こんにちは!

言語聴覚士(ST)の喜志です。


今回は、

病院で実際に行っている

吃音治療の体験シリーズです。


私が実際に

外来で当事者の方にお話ししている内容を

文字化したものですので、

病院で行われる吃音治療に興味のある方は

参考にしてください。

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吃音に悩む多くの方は、

吃音を悪化させる要因を増やし続ける

悪循環に陥っています。


この悪循環から逃れるには、

まず

吃音への否定的価値観を捨て、

吃音者特有の行動を止めることです。

つまり、

「どもっても良いや」

と考えることです。

※詳しくはこちらの記事

〇まず自分が陥っている現状を整理しましょう。


<他人は吃音なんか気にしていない>

吃音歴の長い当事者の方の中には、

「他人が自分を低く見ているに違いない」

「駄目な話し方をするヤツだと思っているに違いない」

と強く思い込んでいる場合があります。


吃音歴が長いほど、

悪循環によって生じる

吃音への否定的価値観が強化され続け、

まるで信念のように

吃音観が固まってしまっています。



実際、

外来に来られる方でも、

吃音歴数年の若い方は、

「吃音を治したい」と思っておられますが、

何十年も吃音を経験されている方は、

「自分の吃音感を披露したい」ような方が

多いように思えます。



かと言って、

方針を変えるようなことはしません。

私達臨床家の姿勢がブレると

ちゃんとした訓練が成り立たなくなってしまいます。


このような場合、

小さい問題から対応します。


つまり、

「他人は自分が思っているほど、

自分の吃音症状を拒否していない」

ということを

自らの行動を通して

確認してもらいます。



具体的な方法の一つに、

自分の吃音のカミングアウト(告白)があります。


カミングアウトは、

大々的に「自分が吃音であること」を

伝える方法もありますが、

覚悟を決めて告白するよりも、

何気なく話す方がうまくいきます。



実際、

私もいくつかのカミングアウトを行いましたが、

朝礼や面接の場面で時間を確保して

告白するより、

雑談レベルで告白した方が

気持ちは楽だし、

相手の反応を実感できました。


試しに、

普段の雑談で、

ちょっとどもった時に、

冗談めいた軽い感じで

「かんじゃった」等と言ってみて下さい。


その時に、

相手の反応を確認してください。

自分が思い込んでいた反応とは異なり、

相手は自分の喋り方を気にしていないことに気づきます。


このように、

少しずつ行動を通して

確認をしていきます。


吃音への否定的価値観は、

あくまで自分自身の主観です。

自分の行動を変えれば、

価値観は変わります。


そうして、

少しずつ吃音への”こだわり”が薄れ、

「どもっても良いや」と

思えるようになってきます。



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