診療体験~吃音が治るとどうなるのか?”健常者にもどる”事を理解しよう~

こんにちは!

言語聴覚士(ST)の喜志です。


今回は、

病院で実際に行っている

吃音治療の体験シリーズです。


私が実際に

外来で当事者の方にお話ししている内容を

文字化したものですので、

病院で行われる吃音治療に興味のある方は

参考にしてください。


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吃音の重症度は

”進展段階”で表されます。

進展段階の表.jpg

”悪化要因”が増すと

第4層へ向かって進展し、

”流暢性の要因”が増すと

正常域へ向かって遡ります。


※詳しくはこちらの記事

ことばに詰まる頻度が少なければ吃音は軽いと勘違いしていませんか?

自然に悪化はしていません。吃音を悪化させる要因を知っていますか?


<「自分は吃音者だ」という意識から卒業>

私の臨床では、

”吃音が治る”とは

進展段階を遡って正常域に戻る事

と定義しています。


正常域に戻ると

健常者と同じように、

自然で無意識な発話が

少しずつできるようになります。


つまり、

話す度に意識してことばを出すという

「発話努力」が不要になります。


発話に対する恐怖感や不安が無くなります。


話す場面に対する恐怖感や不安が減少し、無くなります。


話す場面での緊張が減少し、無くなっていきます。


吃音に対する恥ずかしさが無くなります。



つまり、

吃音に対する否定的価値観から解放されます。


吃音のことが気にならなくなり、

吃音のことは考えもしないで

生活できるようになります。



そうすると

本来の自分らしさを取り戻し、

自分に対して自信が持てるようになります。


正常域に達した段階では、

自分が吃音者であるという意識も無くなります。

つまり、

吃音者意識からの脱却です。





世間一般で広く行われている

スラスラ話すテクニックを身に着ける

発話訓練でも、

正常域に到達される方もおられますが、

多くの方は、

訓練室の中でだけ

楽に話せるようになり、

社会に戻ると再び吃音に苦しみます。


訓練室の中だけで

自然で無意識な発話が達成されても、

日常の社会的場面では楽になりません。


社会的場面でも達成されてこそ、

吃音が治って楽になったと言えます。




私達臨床家の仕事は、

そのためのお手伝いをすることです。

「吃音者である」という意識から卒業しましょう。



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【成人吃音の診療体験シリーズ一覧】

〇ほとんどの方が「吃音=ことばに詰まる」だと勘違いしています。

ことばに詰まる頻度が少なければ吃音は軽いと勘違いしていませんか?

〇進展段階を知っていると、吃音の実態がよくわかります。

自然に悪化はしていません。吃音を悪化させる要因を知っていますか?

吃音は”ビーカーの中に入った水”です!?

吃音の人は頭の中の行動から”すでにどもっています”

健常者と吃音の人の発話行動はこれだけ違う!?

「コミュニケーション=声に出して話すこと」と思っていませんか?

〇自分が本当に望む目標に見合った訓練方法を選択しましょう!

〇私が病院で行っている訓練方法について解説します!

〇日常生活を送りながら、健常者と同じ発話行動の経験値を増やします!

RASSによる間接法は二段構えのアプローチです!

〇薬と同じでコツコツ続けてこそ効果が表れます!

〇まず自分が陥っている現状を整理しましょう。

〇皮肉なことですが、これまでやってきた努力が実現した結果です。

〇まず自分の行動を変えて、進展段階を遡りましょう!

〇価値観と事実は違います。それを確認してみましょう。

〇最終目標は健常者と同じ状態に”戻る”ことです。

〇最初は”だまされた”と思って続けてみてください!

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