子どもの吃音を相談して「自然に治る」「様子を見よう」と言われたけど心配な方へ
このブログは、
「ことばの不自由さに困っている方」へ
「ことばの問題の専門家であるST」が
言語療法の情報をお届けする事を
目的としています。
この記事は、
「小児の吃音」について、
私が実際に
病院の外来で当事者の方にお話ししている内容を
文字化したものです。
これは、
「吃音症」という症状です。
吃音とは、
一般的な言い方では「どもること」です。
<吃音は自然に治るのか!?>
子どもの吃音について
医師や保健機関に相談された方の中には、
「自然に治りますから様子を見ましょう」と
言われた方が多いと思います。
しかし、
多くの親御さんは
そのことばに納得できず、
半信半疑のまま
「このままでいいのだろうか?」と
心配されている方が多くいらっしゃいます。
結論から申し上げますと、
「吃音が自然に治る」ということは、
半分本当で
半分は誤解です。
吃音は根本原因が不明なので、
根治療法はありません。
今世の中にある訓練法や治療法は
すべて対症療法です。
そのため、
臨床家によって意見が分かれるところもあります。
<「様子を見る」は何もしない事ではない!?>
小児科の医師は、
言語発達がおおよそ完成する6歳程度を基準に、
それまで「様子をみる」と判断される先生が
多いように思われます。
しかし、
幼児期の吃音は周囲の環境の影響を受けやすく、
治しやすい時期なのです。
この時期に何もせず
静観することは、
実は非常に勿体ないのです。
「様子を見る」とは、
静観することではなく、
正確には、
「吃音が自然治癒し易い環境を整えて
改善を待つ」
という事です。
その事を、
多くの大人が誤解されているように思えます。
失礼を承知で申し上げると、
医師でさえ、
「様子を見る」=ただ静観する
と誤解されている方もいるように
思えます。
<吃音が治り易い環境を整えるとは!?>
では、
「様子をみましょう」と言われたら、
どうすればいいのか?
できれば、
言語の専門家である
私達STにご相談ください。
私の臨床では、
「自然で無意識発話への遡及的アプローチ(RASS)」
の考え方に基づいて、
環境調整法を実施しています。
※RASSについて詳しく知りたい方は、こちらの記事もクリック ↓
〇「つらい」「克服したい」吃音を治したい方は要チェック!病院の治療を徹底解説
〇訓練で実現したい”目標”は何?直接法と間接法の違いを理解しよう
一般的には
本人に声を出して練習させる
直接法と呼ばれる訓練法が
主流ですが、
いわゆる
スピーチの練習は
吃音の症状をコントロールしようとする方法なので、
まだ本人が困っていない段階で
練習を強要すると、
それが吃音の悪化要因を
増やす事になりかねません。
RASSによる訓練は
声に出して練習はしない
間接法と呼ばれる訓練法です。
症状をコントロールしようとするのではなく、
思ったことを自然に言う経験と
自我の強さを身につける事を目指します。
成人の方にはメンタルリハーサル法という方法を用いますが、
小児では、
まだ実際の生活で
自然で無意識な発話を促しやすいので、
関わる大人側が環境を整えてやります。
このように
STは吃音治療のための訓練法を
いくつも併せ持っています。
「自然に治ります」
「様子を見ましょう」
などと言われて
それでいいのか心配になった方は、
まずSTにご相談ください。
〇STに相談したいけど、問い合わせ先がわからない方へ
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