「今日は園でどうだった？」はNG！？吃音が出始めた頃に言ってはいけないセリフ
このブログは、
「ことばの不自由さに困っている方」へ
「ことばの問題の専門家であるST」が
言語療法の情報をお届けする事を
目的としています。
この記事は、
「小児の吃音」について、
私が実際に
病院の外来で当事者の方にお話ししている内容を
ご紹介した記事になります。
私の臨床では、
「自然で無意識発話への遡及的アプローチ（RASS）」
の考え方に基づいて、
環境調整法を実施しています。
この方法は、
子どもを取り巻く環境を、
「吃音が悪化しにくく、治り易い環境」に整えて、
吃音が徐々に治っていくのを待つ
という方法です。
※詳しくはこちらの記事をご覧ください！ ↓↓↓
本来の環境調整法は、
専門の臨床家の指導のもとで行う事が理想ですが、
この記事に上げたポイントを押さえるだけでも、
吃音の緩和を促すことができます。
環境調整法で整えるべき環境は、
「言語環境」
と
「養育環境」
の２つです。
今回は、
「言語環境」について
解説しましょう！
〈「保育園、どうだった？」は言語的圧力〉
「言語環境」とは、
広い意味での
「話すこと」や
「ことば」
「会話」
などに関わる環境を指します。
「調整する」とは、
いっさいの言語的圧力をかけないようにすることです。
そのポイントは、
・吃音の発話症状への口出しを全てやめる
・発話による報告を求めない
・年齢を前倒しした文字や外国語の早期学習をやめる
・言語を用いた気持ちのやり取りを増やす
という点です。
本人のために良かれと思って
楽な話し方を勧めたり、
話さなくて済むように配慮したり、
スラスラ話す練習をさせる事は
実は
子どもの利益にはなっていません。
子どもに「園でどうだった？」などといった
報告を求めることも止めます。
これらは
親の側にそのつもりが無くても、
子どもにとっては
発話の強要になってしまうからです。
子どもに報告を求めるのではなく、
子どもが自発的に話しやすいように
大人側が
いつでも話を聴ける余裕を示してやります。
「ありがとうは？」
「こういう時はなんていうの？」
なども禁止です。
このような声かけは
躾の一環として行っている親御さんも多いのですが、
今現在、
吃音が出ている子どもにとって、
躾による強要に耐えられる程の余裕はありません。
「躾をしてはいけない」ということではなく、
優先順位が違うのです。
子どもに余裕ができてから、
改めて躾をやる方が、
ずっと良い結果になります。
大人側は、
子どもがどもった時の
発話症状に反応するのではなく、
本人が伝えたい内容に反応するようにします。
話し方を強要するのではなく、
子どもとの気持ちのやり取りをしていきます。
「しゃべってもいい」
「しゃべらなくてもいい」
「しゃべりたければしゃべる」
「しゃべったら受け止めてもらえる」
そんなゆったりとした言語環境にすることが大切です。
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