子どもの吃音はどう変化する?環境調整法で生じる変化について

こんにちは!

言語聴覚士(ST)の喜志です。


このブログは、

「ことばの不自由さに困っている方」

「ことばの問題の専門家であるST」

言語療法の情報をお届けする事を

目的としています。



この記事は、 

「小児の吃音」について、

私が実際に

病院の外来で当事者の方にお話ししている内容を

ご紹介した記事になります。

3229186_s.jpg 


私の臨床では

「自然で無意識発話への遡及的アプローチ(RASS)」

の考え方に基づいて、

環境調整法を実施しています。


この方法は、

子どもを取り巻く環境を、

「吃音が悪化しにくく、治り易い環境」に整えて、

吃音が徐々に治っていくのを待つ

という方法です。


※詳しくはこちらの記事をご覧ください! ↓↓↓

子どもの自信を育てる!「治るのを待つ」の本当の意味




本来の環境調整法は、

専門の臨床家の指導のもとで行う事が理想です。


今回は、

環境調整法で子どもに生じる変化について

解説しましょう!




<環境調整の期間は年単位>

環境調整法のみで

吃音が治る確率は、

およそ5割と言われています。


吃音が治る場合であっても

年単位での時間が必要です。


今日やったから明日良くなるとか

半年で治るということではありません。


そもそも、

環境調整法は子育てそのものです。


子育ての結果が、

数日、数か月で反映されるとは

考え辛いでしょう。


親御さんも周囲の大人も、

結果を焦らず、

じっくり取り組む必要があります。



<変化は小さな事から生じる>

環境調整を開始すると

行動、感情の面で

細かな変化が

本人にも親御さんにも生じます。


それは、

子どもがいつもより少し甘えてくるとか、

普段は子どもの一挙一動にあんなにイライラしていたのに、

あまり気にならなくなったとか…


環境調整法は

このような毎日の細かな変化の積み重ねです。

ある日突然、

良い方に変わるということはありません。


この小さな変化を見過ごさないで
STは臨床を進めていきます。




<吃音の状態は”地図”で確認>

吃音の重症度は

”進展段階”で表されます。

進展段階の表.jpg

”悪化要因”が増すと

第4層へ向かって進展し、

”流暢性の要因”が増すと

正常域へ向かって遡ります。


※詳しくはこちらの記事

ことばに詰まる頻度が少なければ吃音は軽いと勘違いしていませんか?

自然に悪化はしていません。吃音を悪化させる要因を知っていますか?


進展段階の図は

”地図”のように使います。

「今はどこにいるか」

「以前はどこに居たのか」

「今はどこに向かっているのか」

このようなことを

進展段階の”地図”で

確認していきます。


環境調整法では、

吃音が正常域に向かう事を促し

同時に、

第4層に向かって今以上に進展する事を

防止します。



つまり、

ゴールは一番上の”正常域”であり、

現在地より上に向かって進めていきます。

現在地は常に”地図”で確認しましょう。



子どもが現在

進展段階の”地図”のどこに位置するかは、

症状の種類からわかります。



たとえば、

「音の繰り返しや引き伸ばし」

のみが出ていれば、

現在地は第1層です



ことばに詰まる「ブロック」が出ていれば、

現在地は第2層です。


スラスラ話すテクニックを使うようになると

それは「工夫」という重い症状であり、

第3層に悪化した

と判断します。



逆に、

現在地が第3層ならば、

「工夫」の症状が無くなれば

第2層に戻った。



「ブロック」の症状が無くなれば、

第1層に戻った、

と判断します。




私達STの仕事は、

子どもの現在の状態を見極め、

親御さんが混乱しないように、

支援することです。



この記事が役立ちましたら、
よろしければ
ご意見を
お聞かせください。

アンケートはこちら↓↓↓






環境調整法に興味を持たれた方は、
ぜひ、
メールにてご相談ください。

こちらをクリックするとメールフォームが開きます。  


※ご入力頂いた個人情報に関しましては、

お問合せへの回答を目的としてのみ使用します。

その他の目的、

外部の第三者に提供することは一切ございません。 

お気軽にお問い合わせください。





【環境調整法】関連シリーズ一覧

↓↓↓


<小児の吃音について知りたい>

〇子どもの吃音の特徴について解説します。↓



〇子どもの吃音は、周囲の影響を強く受けます。
素人判断でやってはいけないことについて解説します。↓



〇子どもの吃音の治療法「環境調整法」の概要を簡単に説明します。↓

 



<環境調整法を始めたい>

〇吃音の子どもへ必要な声かけ、言ってはいけない事について解説します。↓

「今日は園でどうだった?」はNG!?吃音が出始めた頃に言ってはいけないセリフ

 

〇吃音の子どもへの接し方については、以下の記事でそれぞれ解説します。↓

しかってはいけない!?吃音が出ている子どもの自信を育てる方法

親の言う事をきかないのは「良い子」!?吃音が出ている子どもの自信を育てる方法

「ほめる」は罰を与える事!?吃音が出ている子どもの自信を育てる方法





<環境調整法による変化を知りたい>

〇環境調整法を進めて、どの時期にどのような変化が生じるか解説します。↓

子どもの吃音はどう変化する?環境調整法で生じる変化について



〇環境調整法は、子どもだけでなく親にも変化が生じます。↓

必ずストレス解消法を身に着けて!環境調整法で親に生じる変化について

 


<環境調整法の終え方>

〇症状が出なくなると「治った」と思うかもしれませんが、焦ってはいけません。
治りかけの吃音の特徴について解説します。↓

この記事へのコメント