親の言う事をきかないのは「良い子」!?吃音が出ている子どもの自信を育てる方法
このブログは、
「ことばの不自由さに困っている方」へ
「ことばの問題の専門家であるST」が
言語療法の情報をお届けする事を
目的としています。
この記事は、
「小児の吃音」について、
私が実際に
病院の外来で当事者の方にお話ししている内容を
ご紹介した記事になります。
私の臨床では、
「自然で無意識発話への遡及的アプローチ(RASS)」
の考え方に基づいて、
環境調整法を実施しています。
この方法は、
子どもを取り巻く環境を、
「吃音が悪化しにくく、治り易い環境」に整えて、
吃音が徐々に治っていくのを待つ
という方法です。
※詳しくはこちらの記事をご覧ください! ↓↓↓
本来の環境調整法は、
専門の臨床家の指導のもとで行う事が理想ですが、
この記事に上げたポイントを押さえるだけでも、
吃音の緩和を促すことができます。
環境調整法で整えるべき環境は、
「言語環境」
と
「養育環境」
の2つです。
今回は、
「養育環境」について
解説しましょう!
養育環境とは、
こどもが育つ環境全般のことです。
つまり、
生活全般にわたる調整を行っていきます。
具体的なポイントは
・押し付けをやめる
・しかるのをやめる
・しつけをやめる
・罰を与えない
・母子の気持ちのやり取りを増やす
という点です。
<「母」の役割を増やす>
養育環境の調整の要は、
母親と子供の愛着形成です。
「愛着」とは絶対的な量ではなく、
子どもにとって十分かどうか?
という視点になります。
吃音の子供によく見られるパターンは、
その子供にとって
愛着が不足しているが、
押し付けやしつけは過剰
というものです。
この場合、
少なくても現状より
愛着行動を増やし、
しつけを控える、
という対処をすることが重要です。
母子関係で重要なのは
母親役の家庭内での役割配分です。
たとえば、
お母さんは「母」の役割の他にも、
「妻」
「主婦」
「嫁」
「社会人」など、
多くの役割を持っています。
それぞれがもちろん重要です。
しかし、
吃音の環境調整に関しては、
「母」の役割がどれよりも重要です。
バリバリ働くキャリアウーマンも、
家事をきっちりこなす主婦も、
吃音の子供にとっては不要なのです。
「主婦」や「社会人」の役割によって
「母」の時間が削られているなら、
環境調整の間だけは、
工夫して「母」の部分を増やすようにします。
「主婦」の役割はいっとき目をつぶってもらい、
“手抜き”をしてもらいます。
そういう時は、
お父さんに「主夫」を発揮してもらうなど、
ほかの家族の協力を求めるのも
1つの手段です。
仕事の方は難しいかもしれませんが、
期間限定で、
出来る限り減らしてもらいます。
そうやって
他から削って集めた時間と気持ちを、
「母」の役割に使ってもらいます。
親御さんにとっては
本当にとてつもなく大変ですが、
子どもにとっては
とても大きな意味を持ちます。
吃音の子どものたいていは、
親のいうことをよく聞く「いい子」です。
ところが、
環境調整がうまくいくと、
いうことをきかなくなったり、
攻撃的になったりします。
初めのうちは過剰に攻撃性が高まりますが、
しばらくすると落ち着きます。
その時の様子が、
その子の本来の姿なのです。
以前は大人しかった子が、
環境調整後にヤンチャになったのなら、
もともとその子はヤンチャな気質があったのに、
それを抑えていた
ということです。
親に
「片付けなさい」と言われて、
「知るかっ」
と言い返して
言うことをきかない子は、
親御さんからすると
「困った子」でしょう。
しかし、
私達STからすると、
そのような子は、
自分の意志をしっかり持っている
「素晴らしい子」です。
そのような子は、
自我の土台がしっかりできていますので、
ちょっとやそって打たれても
自信を失ったりしません。
躾は、
そのように子どもが安定してから
やっても遅くはありません。
※ご入力頂いた個人情報に関しましては、
お問合せへの回答を目的としてのみ使用します。
その他の目的、
外部の第三者に提供することは一切ございません。
この記事へのコメント