認知症になりたくない人が、今すぐ聴力検査を受けるべき理由
こんにちは!
言語聴覚士(ST)の喜志です。
このブログは、
「ことばの不自由さに困っている方」へ
「ことばの問題の専門家であるST」が
言語療法の情報をお届けする事を
目的としています。
今回は、
認知症の予防について
ご紹介します!
できれば一生患いたくない病気の一つが
「認知症」
記憶障害
俳諧
不潔行為
暴言
など、
自分だけでなく周囲の人間にも
多大な影響を与える病気です。
しかし今や、
誰が患ってもおかしくない
と言われる認知症。
原因はさまざまですが、
根治療法は未だに
ありません。
一度患うと、
症状の進行を遅らせることはできても、
完全に治すことはできません。
予防は有効な対処法の一つです。
認知症の予防には
脳トレが有名ですが、
それよりも高い効果が見込め、
ほとんどの人が見過ごしている
予防法があります。
それが、
難聴への対応
です。
<認知症予防には視力・聴力の確保が必要>
認知症の予防には、
・日頃から認知機能を使うこと
・日頃から多くの刺激を受けること
・視覚、聴力等の感覚を確保しておくこと
が大切です。
※詳しくはこちらの記事 ↓↓
認知機能とは、
本来
常に変化する環境に
対応するための機能です。
よって、
変化する環境を認識できることが
前提となります。
視力や聴力が衰えると
当然、
環境の認識力が低下し、
結果として
認知機能の低下につながります。
ですが、
視力の低下を気にする方は多いのですが、
聴力の低下を気にする方は意外に少ないのです。
難聴への対応、
つまり
聴力の確保が
認知症の予防につながることは、
複数の研究で明らかになってきています。
介護施設で
認知症予防の一環として
難聴への取り組みを始める例もあります。
多くの人が見過ごしがちですが、
難聴への対応は、
認知症予防として、
着実に定着化しつつあります。
<「大きい声をだせばいい」ではダメ>
「認知症予防のために
聴力検査に力を入れよう」
というと、
施設の職員からは
「大きい声出せばいいじゃん」
と言われます。
実際、
難聴の人の生活では、
「周囲の人が大きな声で対応する」
「テレビの音量を上げる」
といった対応で事足りる
という話も聞きます。
しかし、
加齢による難聴は
音のボリュームを上げても
聞こえるようにはなりません。
年齢により進行する難聴は
「音が小さく聞こえる」
ではなく、
「音にモザイクがかかる」
症状です。
ボリュームを上げて
聞こえるようになる現象は、
本人が推測できるぐらいに
音の総量が増えただけです。
ここを勘違いしている人が
医療機関でも未だに
多くいらっしゃいます。
また、
難聴を患った本人にも
周囲が合わせてくれることによって
「別に困っていない」
という方が多いのです。
しかし、
予防とは、
自分が環境に適応する能力を
衰えさせないようにすることです。
周囲の環境が自分に合わせてくれること
ではありません。
<認知症にかかってから補聴器をつけても手遅れ>
病院で働いていると、
難聴を患っている患者様は
多くいらっしゃいます。
ですが、
ほとんどの方は
補聴器をつけません。
補聴器を持っている方でも、
病院職員が補聴器を使いたがりません。
紛失するから…
補聴器は大変高価なものですが、
非常に小型です。
補聴器を付けない理由の一つが、
「失くし易い」
ことです。
患者本人は
補聴器を付ける事を不快に感じ、
知らぬ間に失くしてしまうことが
多いのです。
失くした事を
患者本人があまり深く考えていない
場合もあり、
家族が深く落胆する
場面も見受けられます。
小さくて高価な物を
管理する側は嫌います。
それが、
認知症の患者の場合であれば、
なおさらです。
まず間違いなく
補聴器を失くします。
補聴器の使用は
予防段階から始めてこそ
定着できます。
認知症になってから使用しても
定着しません。
<集音器と補聴器は全く違う>
難聴の患者から
補聴器を使用しない理由として
よく聞くものが、
「周りの音がやかましい」
「まったく聞き易くならない」
という意見です。
そういう方の多くは、
以前に集音器を使った経験で
判断されています。
町の眼鏡屋さんで
数千~一万円で販売しているものは
大抵が集音器です。
集音器とは、
その名の通り
周囲の音を拾って
ボリュームを上げる機械です。
補聴器と集音器の最大違いは、
集音器が周囲の音を全て大きくするのに対し、
補聴器は「聞きたい音」だけを大きくします。
今の補聴器はほぼ全てが
デジタル処理に対応しており、
患者個人の聞こえの状態に合わせて、
増幅する音と抑える音を
個別に調整できます。
この調整をするのは、
私達STの仕事です。
「補聴器なんて効果がない」
と思っている方は、
耳鼻科のSTに相談してみてください。
<まとめ>
いかがでしたでしょうか?
「認知症にはなりたくない
でも
高額な補聴器まで付けなくても」
と考える方も多いでしょう。
いわば、
難聴への対応は
「投資」です。
認知症になってしまえば、
一概には言えませんが、
補聴器一個の費用とは
比較にならないお金がかかる可能性も
あります。
予防医学とは、
言ってしまえば自分自身への投資です。
人間は必ず何かの病気に罹って
最後は死を迎えます。
その時まで、
健康で自分らしい暮らしを
少しでも長く続けられるように
健康なうちから備えておくことです。
考え方は人それぞれ
最後に決めるのは
自分自身です。
ですが、
認知症になるリスクを少しでも下げたい
という方には、
一度自分の聴力を知っておくことを
オススメします。
リハビリのことで
言語聴覚士に相談したい方は、
メールにてお問い合わせください。
ご意見、ご感想を
お待ちしております。
※ご入力頂いた個人情報に関しましては、
お問合せへの回答を目的としてのみ使用します。
その他の目的、
外部の第三者に提供することは一切ございません。
お気軽にお問い合わせください。
この記事へのコメント