吃音は個性と考えるべきなのか?言語聴覚士が教える吃音の話
こんにちは!
言語聴覚士(ST)の喜志です。
このブログは、
「ことばの不自由さに困っている方」へ
「ことばの問題の専門家であるST」が
言語療法の情報をお届けする事を
目的としています。
今回は、
子どもの吃音について
お話します。
私の臨床では、
「自然で無意識な発話への遡及的アプローチ(RASS)」
の考え方に基づいて、
吃音の訓練を行っています。
※詳しくはこちらの記事↓↓
小学生以下の子どもの
吃音に対しては、
環境調整法で
対応します。
この方法は、
子どもを取り巻く環境を
「吃音が悪化しにくく、
治り易い環境」に
整えて、
吃音が徐々に治っていくのを待つ
という方法です。
※詳しくはこちらの記事↓↓
今回は、
実際の臨床で
子どもの親御さんから
頂いた質問と
その回答について
ご紹介します。
<Q:吃音は個性だと言われたのですが、違うのですか?>
A:吃音=個性という考えは、吃音が治らない事が前提
「吃音=個性」という考えは
吃音を治そうという立場ではなく、
「吃音は治らない」という前提のもとに、
「いかに吃音にと付き合うか」という
立場での見方です。
吃音は治る場合もあり、
治りきらないとしても
生活に支障のないレベルまで
軽減する場合もあります。
そして、
治らない場合もあるわけです。
もしも、
訓練をしても治らなかった場合に、
吃音が苦痛であると感じる人にとっては、
吃音を持ちながらも
自分らしく生活するため、
吃音に対する考え方を変えていく必要が
あると思います。
ですが、
最初から
「吃音は治らないから、
個性と考えるべき」
という考え方にこだわるのは、
少し早計ではないか?
と考えます。
幼児や学童の吃音でも
「個性であり、何も恐れる必要はない」
と本当に考えられるなら、
吃音の症状を隠すことなく
カミングアウトすることは
心理的な抑圧を減らすことになり、
吃音の悪化を防ぐ効果もあります。
ただし、
単に幼児、学童、成人というくくりではなく、
個々の当事者によって吃音の条件が異なっていますので、
「吃音は個性だから
恐れずにカミングアウトすべき」
という意見には
反対です。
「吃っても良い」という価値観が
本人に身に付いてから
「カミングアウト」を
考えるべきと思います。
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