親御さん要チェック!小学生未満の子供に吃音を意識させると悪化する!?

こんにちは!
言語聴覚士(ST)の喜志です。

このブログは、
「ことばの不自由さに困っている方」
「ことばの問題の専門家であるST」
言語療法の情報をお届けする事を
目的としています。

今回は、
子供の吃音について
お話します。


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私の臨床では、
「自然で無意識な発話への遡及的アプローチ(RASS)」
の考え方に基づいて、
吃音の訓練を行っています。

※詳しくはこちらの記事↓↓


小学生以下の子どもの
吃音に対しては、
環境調整法
対応します。

この方法は、
子どもを取り巻く環境を
「吃音が悪化しにくく、
治り易い環境」に
整えて、
吃音が徐々に治っていくのを待つ
という方法です。

※詳しくはこちらの記事↓↓


今回は、
RASSで吃音外来をしている
STの立場から、
お役立ち情報を発信していきます。



<子供に吃音を意識させてはいけない!?>

タイトルにある
「子どもに吃音を意識させると悪化する」
という考え方ですが、

結論から先に言うと、

〇吃音をただ自覚する=問題ない

〇吃音を否定的に意識する=悪化する

この2点に分かれます。

多くの親御さんが勘違いされていますが、
ただ吃音を意識することと、
吃音を否定的に捉え始めることは
イコールではありません。




<小学生未満の吃音は本人は気にしていない>

吃音には進展段階があります。
第4層に進むほど、重度の吃音となります。

進展段階の表.jpg
上の表でいうと、
小学生未満の幼児では、
多くの場合、
第1層あるいは第2層です。

つまり、
どもっている事に気付かない
あるいは
どもっていても困っていない
という状態にあります。


ここに、
どもることが
「恥ずかしい」
「しんどい」
「スラスラ喋らなければならない」
などのようなに、
吃音の否定的価値観を
抱くようになると、
どもらないように話そうと工夫して、
第3層に悪化します。


「子供に吃音を意識させない」とは、
本来はこのように、
否定的価値観を持つことを予防する
という意味です。


本人が吃音を自覚すること自体は、
進展段階第2層(どもっているが困らない状態)
ですので、
特に問題はありません。




<親はどう対応すればいいのか!?>

今まで私がお受けした質問のなかから、
吃音が出ている子供に対して
「やってもよいこと」
「やらない方がよいこと」
についてまとめてみましたので、
ご紹介します。


① 喋り難そうにしていることを指摘する
聞き方にもよりますが、
「話しにくい?」
「大丈夫?」
等のような
発話行動自体に注目する聞き方は
やめてください。

もちろん、
「ゆっくりはなす」
などのテクニックをさせることも
やらない方が良いです。


② 吃音の事を励ます
親御さんが吃音の当事者であることが
多いのですが、
ご自身の辛い経験を思い出し、
子供に同情されて
励ましたり
心配したり
される場合があります。

子供のことを想っての行動なのですが、
励ます
心配する
これらは吃音を否定的に考える事を
前提にしています

まだ吃音を何とも思っていない子供に
親の価値観を継承させることは
やらない方が良いです。



③ 吃音のことを話題にする
これも取り上げ方によりますが、
ただ単純に
子供に吃音が出ていることを
話題にするだけであれば、
やっても問題ありません。
お子さん自身が
どう思っているか?を
よく聴いてあげてください



④ 病院につれて行く
これも問題ありません。
幼児期の子供は
自分が病院にかかる事について
親が思っているほど
深くは考えていません

ただ、
「どもることがよくないから」
「ことばの病気だから」
などのように、
あからさまに子供の話し方に
問題があるような
連れて行き方は
止めた方が良いでしょう。

私のおすすめ、
「ママが先生に相談したい」
と言って連れてくる方法です。

実際、
困っているのは
子供ではなく、
親の方なのですから、
誤魔化した言い方ではありません。




<まとめ>
いかがでしたでしょうか?

幼児期の吃音の場合、

多くは子供自身は何も困っていません。

心配しているは、
周囲の大人の方です。

「苦しそうに喋ってるけど大丈夫かな?」
「早く病院に診せた方がいいんじゃないかな?」
「こんな話し方で将来いじめられないかな?」
「もっと楽に話していいのに」
「治らなかったらどうしよう」

これらは保護者であれば
当然の心配ですが、
子供は何も考えていません。

そのような状態であれば、
全体の5割は
吃音の自然治癒が望めますし、
就学前にSTの言語療法を行えば、
治癒率は7割に上昇する
と言われています。

しかし、
子供自身が
「どもることがつらい」
と訴えるようになったら、
進展段階第3層へ
悪化している可能性があります。

そうなると自然治癒は望めないので、
いずれにしても
私のようなSTに
相談して頂ければ
と思います。





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